我闘姑娘シーズン1 「伝えたい 愛と勇気と根性をVol.1」 | 第1話 旗揚げ |
さくらえみ。 元川恵美が団体を旗揚げするなんて、一体誰が思っただろう。 誰一人、想像する人すらいなかったはずだ。 しかし、さくらは一見無謀に思える夢に向かい、こつこつと行動を起こしていた。 旗揚げまでは色々な団体の第0試合として、我闘姑娘の試合を入れてもらっていたりしたものだ。 初めて見たのは、川越で行われたみちのくプロレスであったか。 会場の入り口でチラシをもらう。いわば、gtkn.comの前身のそれを配っていたのは、戸村真美 だったような気がする。 さくら対零の試合で、セコンドにいた女の子。 とにかく元気で、声を出しっぱなし。何より、プロレスを見る、そのこと自体が楽しくってしょうが ないという雰囲気。 「誰なんだろう、あの子?」 気になってしようがない。 さくらの試合から目を逸らすなんて異例中の異例だよ・・・ そう思いながら、シャッターを押した。 市井舞という名前を知ったのは、それからいくばくかの時間が経ってからだった。 新木場は、超のつく満員。 東の席に座る。普段とは違い最前列。特別の日だから。 歌Σ( ̄口 ̄;) クラシック歌手のようだが、この人は一体誰なのだろう・・・ というか、我闘姑娘との関係って一体・・・ 入場式、さくらの挨拶は、早くも涙声。 うん、無理もないよなあ。 だが、涙の理由は、こちらが思っていたものとは全く異なるものだった。 「本日デビュー予定の戸村真美よりトーナメントを棄権したいとの申し入れがあり、そして、 蒲原唯ですが、つい1時間前まで元気に動いていたのですが、最後の調整で片足を骨折、 片足を捻挫してしまい・・・」 なんてことだ・・・ 嵐の旗揚げ。 だが、もう一つの嵐が吹き上げる事に、まだ誰も気づいてはいないのであった。 (つづく) |