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 10年のあゆみ・元川恵美編 その7 
 1999年3月19日、後楽園ホール vs小杉夕子 






  
 年が明けて1999年、何かが動きだした。 
 1月4日、全日本タッグ挑戦を最後に全女撤退を発表。 
 1月17日、西堀に初のフォール負け。 
 そして2月11日。 
 試合後、何事かを発しながら、ベルトを本部席に差し出した元川。 

       

 全てが同じ方向、それもよくない方向に向かっているように思えた。 
 理由は判らないが、モチベーションが落ちている。そうとしか思えなかった。 
 こうした状況の中組まれた、AWF女子世界選手権試合。 
 勝ってくれ!いつにも増して、強く思った。 
 勝って、心の中のもやもやを晴らして欲しい。 
 頭の中に渦巻いている、不吉な予感を笑い飛ばしたい。 



 19分40秒、フィッシャーマン・バスター。元川は敗れた。 
 試合後、元川に歩み寄り、話しかける坂井。 
 何を話したのか、或いは何も話さなかったのか、軽く手を上げた元川の 
 仕草は、坂井を拒絶しているように思えてしょうがなかった。 

       

 ロビーに出た。友達も一人出てきた。 
 目を合わせても、互いに無言。溜息と、壁を激しく蹴る音。 
 「俺、出るわ...」 
 メインを見ずにエレベーターに乗り、しばし街をうろついた。 
  

 結局、高円寺で2時すぎまで飲んだっけ… 
  





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