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 10年のあゆみ・元川恵美編 その9 
 1999年8月8日、木更津倉形スポーツ会館 vs坂井澄江 






 8月。元川”選手”としての復活は、Jd’マットでした。相手は5月 
 に対戦予定だった、坂井澄江。 
 「元川さんとの試合でプロレスの楽しさを知った」 
 かつてそう語っていた坂井は、小杉とのAWF戦の際にも何かと 
 元川を気遣っていました。 
 だから俺には確信がありました。今日はきっといい試合になると。 
 休憩明けの第4試合、場内に流れる「トラブル」。 
 4ヶ月ぶりに聞いたこの曲にグッときました。 
 自然とリズムを刻む左足、初めての「FMW」のコール、リングに 
 降り注ぐ160本のオレンジ。 

 ミサイルキック、プランチャ、雪崩式フランケン。 
 一つ一つ技が決まるたび、大喜びしている女の子達に気づきま 
 した。「すごいねー!」思いっきり、弾んだ声。
 どうやら、元川の高校時代の友達のようです。 
 そう、ここは元川の出身地に程近い場所。友達のためにも勝て! 
       

 だが健闘むなしく、ムーンサルトプレスで元川は敗れました。 
 試合後、本部席のマイクを取った坂井。 
 「私とは進む道が違う、ってことがよくわかりました。
  今日試合できてよかったです」 
 自分の目指すプロレスとの質の違いを感じたのでしょうか? 
 その突き放すような口調に、釈然としないものが残ったのも 
 事実でした。 


 何はともあれ、無事に復帰できてよかった。 
 本当の意味で、「FMWの元川恵美」が始まったのだから。 






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